大きな体格に模様が映える!長物金魚6選
要約:金魚のうちフナに近い体型を持つものを,琉金のような丸い体型のもの(丸物)と区別して「長物」と呼びます.
この記事ではそんな長物の金魚から「和金」「地金」「朱文金」「コメット」「ブリストル朱文金」「柳出目」を紹介し,金魚とフナの交雑によって発生した「鉄魚」に触れます.
飼育しやすく模様の表現も広がる長物金魚
金魚というとまず思い浮かぶのは,琉金や出目金のような背中が丸まって小ぢんまりとした魚体,という方が多いかもしれません.
しかしながら,胴体などにおいて原種のフナの形を保った品種もそれなりの数がおり,小赤や姉金のような素赤(ほぼ全身赤いこと)のものだけでなく,朱文金や墨和金のように黒や白が効果的に入るもの,レモンコメットのような黄色など,ずっと眺めていられるような色柄も多くあります.
こうした長物金魚は品種改良による胴体の変形の影響が少ないこともあり,泳ぎが素早く体質も丈夫です.
らんちゅうなどを飼育するとなると,常日頃から体調など気にしてやるのは大変だ…という方も,長物をゆったりと眺めつつ,色柄も丸物と負けず劣らず楽しめる,という金魚との付き合い方があります.
長物金魚一覧
金魚の作出元は古くからは主に日本と中国,近年含めるとタイやインドネシアなど東南アジア各地,といったところですが,体の丈夫さ故か嗜好性ゆえか,長物に関してはコメットを作出したアメリカ,ブリストル朱文金を作出したイギリスなど,欧米諸国でも広く楽しまれていることが分かります.
和金

吹き流しでもない一般的な尾に長物体型と,フナの形に最も近い金魚です.
かと言って小赤や姉金といった「エサ金」のようなものばかりかと言うと決してそんなことはなく,更紗柄の三尾のものや「墨和金」といって黒が効果的に入りシックな印象を持つものまで様々あります.
地金

愛知県の天然記念物に指定された品種で,孔雀尾(X尾)と呼ばれる強く開かれた独特の分かれ尾を持ちます.
長物の中では例外的に飼育難易度が高いことに注意が必要です(そもそも入手難易度も高い).
口先と各ヒレ(胸ビレ/腹ビレ/尻ビレ(舵ビレ)/尾ビレ/背ビレ)に赤が残り,それ以外を脱色にて白にした「六鱗」という独特の柄があり(鰓ぶたが紅白どちらかは生産者の好みによるようです),この地金の別名として紹介されることもあるようですが,地元の愛知では別々のものとしてそれぞれの評価軸や品評会があるようです.
(地金と六鱗は品種としてはもとは同一。地金は胴がつまり、体高があるのが特徴。対して六鱗は長手が特徴との事。愛知県内でも飼育される地方により、地金と六鱗に区別され、品評会も別々に開かれています)
http://www.sakura-nishiki.com/jikin-lover.html ”金魚サイト【桜錦道】~桜錦愛好会~”より”愛知県の天然記念物「地金」愛好家訪問レポート”(最終確認日:2025/08/27)
朱文金

三色出目と和金の交配によってキャリコ柄((モザイク)透明鱗+赤白黒の三色)と吹き流し尾を持った長物金魚で,その華やかな色合いを持ちながらどこの金魚売り場でもリーズナブルに手に入り,丈夫さゆえ飼育もしやすいという品種です.
コメット

朱文金と同様吹き流し尾を持った長物金魚で,違いとしては作出元がアメリカで普通鱗の更紗柄が一般的であることです.
鮮やかな黄色の体色を持つ「レモンコメット」なるものも流通しています.
ブリストル朱文金

イギリスに渡った朱文金が品種改良を経て,ハート形の尾びれを持った品種です.専門店でなくとも,規模の大きいアクアショップなどに行けば在庫がある意外にも入手しやすい品種です.寿恵廣錦(すえひろにしき)と呼称して,尾ビレを扇や銀杏の葉のような形状に固定しようとする試みもあるようです.
寿恵廣錦とは、
GREENの店主さんが6年ほど前に、
(ブリストルのブームに火がつく初期、でしょうか)
ブリストル朱文金を入手し、
手元の3尾から累代飼育繁殖しているもの。
なので「寿恵廣錦とは?」の問いに、
店主さんが「すなわち、ブリストル朱文金ですよ」とお答えになったのも、
ナットクです。
血筋というか、魚種は純系のブリストル朱文金ヽ(´ー`)ノ
https://kingyo.jpn.org/archives/tag/suehiro-nishiki ”金魚ビギナーですが、何か?”より”寿恵廣錦!GREENさんに行ったぞ~(3)関西ズンドコ金魚旅”(最終確認日:2025/08/30)
柳出目

出目金と朱文金を交配させて作出された長物の出目金魚で,出目というデリケートな部位を持つとはいえ,個体間の相性を見る必要はあれど,その他長物金魚と混泳ができます.
出目品種は目周りにけがや病気をしないよう注意する必要があります.混泳魚が追いかけまわしてくる,レイアウトが固い,鋭いとなると怪我のリスクが高まります.水質悪化によるポップアイにも注意が必要です.出目を持つ他品種の金魚については上記ページを参照ください.
作出元の佐々木養魚場では
『柳に風と吹き流し
やがて目(芽)が出る柳出目』
と、キャッチフレーズ⁈らしいものまで考えて愛着を持って育てていました。
https://ameblo.jp/sasaki-kingyo/entry-12890128851.html (”金魚やぶろぐ by 佐々木養魚場”より”素敵な贈り物(^-^)” 最終確認日:2025/08/18)
と,特別な愛着を持たれ飼育されていたようです.
確かに,出目金の特徴が強く出た丸っこい体型から朱文金に近いすらりとした体型の多様性,それぞれの良さを両立させた柔らかく丸みを帯びながらも大きく広げられた尾びれなど,横見/上見問わず見どころにあふれた品種で,黒一色のようなシンプルでシックな柄,キャリコのような華やかな柄まで上手にまとってみせます.
鉄魚とは

鉄魚とは,宮城県加美町の魚取沼(ゆとりぬま)にて大正11(1922)年に発見されたフナの品種です.体色が鉄さび色のようであることからこの名がついたとされています.すべてのヒレが長く伸長し,天女の羽衣のような姿になっている宮城県の天然記念物で,現在魚取沼から新しく捕獲することは禁止されています.長物金魚と同様俊敏な動きのようです.
尾びれが長いところから金魚を連想させ、発見当初(大正11年)は金魚の原種かと騒がれました。
https://www.kahaku.go.jp/research/db/zoology/uodas/fish_in_focus/tennen/tetugyo.html ”国立科学博物館”より”テツギョ生息地”
この鉄魚のルーツは様々な憶測が交わされ,琉金とフナを交配させると似通った特徴の魚ができたことから,金魚との交配説も仮説としてありましたが,遺伝子解析によってこれを特定する研究論文が2015年に魚類学雑誌より発表されました.
これより,本研究は魚取沼テツギョにキンギョ由来の遺伝子が存在していることを示すと同時に,魚取沼テツギョはゲンゴロウブナを除く日本産フナ属魚類とキンギョの交雑起源であることを示した.現存する魚取沼テツギョの野生集団は,それらの雑種または雑種個体の子孫であると考えられる.このことは,キンギョとフナを交配すると魚取沼テツギョに似た型を持つ個体が生じること(松井,1935),および魚取沼には魚取沼テツギョが発見される以前にキンギョが放されたという伝聞(朴澤,1931)と矛盾しない.
”魚類学雑誌(2015 年 62 巻 1 号 p. 51-57)”より”ミトコンドリアDNA および核DNA の解析による魚取沼テツギョの起源”
材料と方法,結果などの詳細を知りたい場合,上記論文は https://www.jstage.jst.go.jp/article/jji/62/1/62_51/_article/-char/ja/ より閲覧できる状態となっております(2025/08/27時点).
