上見で輝く鱗が魅力!個性に満ちた背びれのない体型の金魚をご紹介

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要約:かつての「マルコ」のように,背びれを持たない金魚は上から見ると背中の鱗が光を受け輝く点で鑑賞に優れています.

例として「らんちゅう体型の各品種」「秋錦体型の各品種」「水泡眼」「頂点眼」「南京」「花房」「大阪らんちゅう」を紹介します.

背びれのない金魚は上見と相性がいい

背びれがなくなる突然変異があった和金の推定画.「マルコ」がこの通りの姿だったかは不明.

ガラス張りの透明な水槽や金魚鉢が流通する以前,金魚の鑑賞方法としては鉢などに入れて上から背中,尾びれなどを主に観察する「上見」が一般的でした(というより,透明な仕切りが存在しない限り,金魚を側面から観察するには水中に顔を突っ込むほかありません).

そうした状況下で,突然変異によって背びれを失った個体は,平らな背中で光を受けて輝く鱗という新しい見どころを提供するに至りました.

かつて存在したという「マルコ」から愛好が始まったとされるこの体型の品種は,水泡眼頂点眼のほか,平付け尾を持つ大阪らんちゅうのように上見に優れた特徴を持つ品種,丸っこい体型を評価され最近作られた品種など古今問わず愛され,新たな姿かたち・色味を探求されています.

背びれのない金魚一覧

らんちゅう体型の各品種

黒らんちゅう

発達した肉瘤(にくりゅう)を鑑賞する金魚で,背びれのない品種の中では最も有名,手に入れやすい品種です.

協会系の尾びれのような例外はありますが,概ねヒレは丸みを帯びており,背や腹の丸みと相まってコロコロとかわいらしい印象を持たせています.

こうした体型の完成度の高さから様々な色柄の品種が古くから近年まで作出されており,江戸錦(モザイク透明鱗+キャリコ柄)もみじらんちゅう(透明/網透明鱗+赤/オレンジ)のような地名・風景にちなんだ品種名を持つもののほか,黒らんちゅう瑪瑙らんちゅう青らんちゅうのような「体色+らんちゅう」形式の名前を持つものがあります.

「協会系」「宇野系」「大阪系」「海外で作出された系統」に大まかに分けられますが,肉瘤や尾びれの鑑賞にはっきりした違いがあるため,大阪系は別枠での紹介とします.

古くからの品種,最近の品種

協会/宇野/大阪の3系統は鼻の先から尾びれまで各々の哲学と歴史にのっとった評価基準がある関係上,奥深い意匠を感じる洗練された形という視点ではこの3系統に軍配が上がります.

珍しい色を持たせるために海外にて作出された品種は,目を引かれる体色とらんちゅうらしいちょこまかとした可愛らしい動きがペット向きです.

黒らんちゅうを例に挙げると

日本のらんちゅうと体型は同じなので、泳ぎも同じ感じなのですが、何故か黒らんちゅうは水槽専門魚です。上見魚として池やプラ舟で飼ってる人をあまり見かけません。(中略)高品質の黒らんちゅうを供給しているタイ産はベルベットブラック。それはまさに黒出目金の黒で、最も日本人好みの黒です。

http://www.kinhito.net/beginner/detail.html?id=89 (”金魚一道”より”黒らんちゅう” 最終確認日:2025/8/17)

といった紹介があります.

色の黒みだけではなく,上見して花開いたように見える(尾張りがしっかりとしている)協会系のそれと比べ,泳ぐたびにひらひらと揺らめき形を保たない尾びれは確かに黒出目金のものと似通っています.

また,肉瘤の形についても,黒らんちゅうは鰓蓋から鼻先までまんべんなく厚みがつくことが多いのに対し,協会系のものは「龍頭」と形容される通り,フンタンが前方に張りつつ鰓蓋は首幅を超えない程度に収まりがちなど,上見向けに長年の選抜を受けた印象があります.

大阪らんちゅう

一般的ならんちゅうと異なり,肉瘤が薄いことと平付け尾,更紗柄の中でも赤の配置によって呼び名が変わる柄を鑑賞する金魚です.

特に柄については「模様魚」という別名がつくほどの重要視をされており,古い資料をさかのぼると明治36年・三好音次郎著「金魚問答」の二十六-三十七項に言及が見受けられるほど長い歴史を持ちます(国会図書館デジタルコレクションより参照可能(2025/8/17時点)です:https://dl.ndl.go.jp/pid/904129).

戦時中に一度失われ,現存するのはそこから復元されたものです.

本品種の人気はもちろんのこと,琉金との交配によって土佐錦を輩出するなど,上見金魚文化において重要なポジションにあります.

1才~2才の大阪らんちゅうはかわいらしい金魚ですが、親魚になってくると迫力がでてきます。らんちゅうのようにコブがでてきてます

https://osaka-ranchu.com/osakaranchu/(”大阪らんちゅうの魅力と飼育方法” 最終確認日:2025/08/17)

鑑賞様式から「肉瘤がない」という紹介を行うウェブサイトが散見されますが,上記引用(サイト内写真参照)の通り,年月を重ね親魚にもなるとはっきり肉瘤が盛り上がる場合が見受けられるため,本ページでは「肉瘤が薄い」という表現にとどめます.

秋錦体型の各品種

青秋錦.金魚の「青」は黒の色素からなるため,水墨画のような詫び寂びを帯びた色合いになる.

らんちゅうオランダ獅子頭を交配させるなどして,長い尾びれをチャームポイントとした品種です.

ブロードテール/ロングテールと違うのはオランダ獅子頭寄りの切れ長で波の入った尾びれで,らんちゅうほど胴が丸まらず肉瘤も強調されず,細長い印象になる場合が多いです.

京錦

モザイク透明鱗とキャリコ柄を持つ秋錦体型の金魚であり,らんちゅう寄りの丸みを帯び小ぢんまりと広がった尾びれを持つ江戸錦との差別化の兼ね合いでこうした名前となったそうです.

津軽錦

波打つ尾びれの美しさが際立つ特徴を持った青森の地金魚です.

戦時中に失われ,現存するものはその後復元された系統です.

津軽錦は褪色(赤くなる)が遅く、3歳位でないと赤くならないという難点があります。
しかし、近年、褪色前の鮒色の魚の金色が美しいという人もあります。

https://www.tsugarunishiki.com/photo/photo.html (”三輪津軽錦保存会”より”写真” 最終確認日:2025/08/17)

上記引用にある通り,十分に成長してがっしりとした体つき鮒色の上品な金が両立され,そこにたなびく尾びれの美しさが加わる見ごたえ満点な品種となっております.

はるやどる

埼玉県の川原魚苑にて作出された初の緑色の金魚です.

既存の金魚の体色として,黄色素胞が呈する黄色と,黒色を呈さないほどにまばらな黒の色素による青灰色,真皮層の黒色素胞と白い透明鱗が組み合わさった浅葱色があり,この組み合わせによって緑色が実現しているものと思われます.

名前の由来は作出者の川原やどる氏とその奥様からとのことですが,若葉や野花を思わせる黄緑の複雑な濃淡の合間に,普通鱗の光沢がアクセントとなって初春のありさまをそのまま身に宿したようです.

近年作出され,個体数がまだまだわずかである兼ね合いから流通は稀のようです.

水泡眼

眼球直下から大きく袋が垂れ,シャボン玉のようにたゆたう特徴を持つ品種です.

再生するとされますが,見た目通り柔らかく破けるため,流木など硬い・鋭いレイアウトや機敏に動き回る魚との混泳を避け,怪我の予防に努めるのが水泡を楽しむコツと言えます.

水泡が発展途上である稚魚の時の姿も,頬を膨らましたようで可愛らしく見ごたえがあります.

頂点眼

水泡眼と違い眼球そのものが真上をむき,頬の辺りのふくらみも半透明ではなく普通鱗と同様,色の乗った銀色をした品種です.

このように視力に頼ることが難しい品種でも体側の「側線」で障害物との大まかな距離を把握することができ,肉瘤で目が塞がったらんちゅう同様障害物にぶつかることなく生活できます.

南京

島根県の天然記念物である品種です.

白勝ち更紗柄が良しとされ,弓なりの輪郭を描く背中と小さく肉瘤が発達しない頭に,一部琉金のキャメルバックともまた違う段差が見られる場合があり,ゆったりと大きな三つ尾,桜尾を持ちます.

https://node-ad.co.jp/izumonankin/ (”出雲なんきん” 最終確認日:2025/08/17)によると,尾びれ中央の「割れ」が「割れすぎてしまったものを矢筈(やはず)と云う」ようです.

横見でも十分な迫力ですが,上見でのしずく型上品な白い鱗のつやが白磁を思わせ,まさしく「良いもの」といった風体です.

初めに紹介したこの体型の品種の魅力である「背中の天辺で日の光を受け輝く鱗」の美しさが存分に発揮され,引き算の美学を体現するようです.

島根県の出雲地方で生産されており,販売元もそのあたりが主,他には各地からの仕入れに注力しているペットショップにたまに出る程度のようです.

花房(中国花房)

他品種においても金魚の目から,口方向に斜め上の場所に鼻の孔とひだが見受けられますが,この鼻孔褶(びこうしゅう)が品種改良により誇張され,菊の花のような様相を見せているのが花房という品種です.

日本が作出の発祥となったものは背びれを持つものだった(日本花房)関係上,本ページで取り上げられるのは中国花房と呼称されます.

このほか,「金爛子(キンランシ)」という品種名が確認され,本ページの紹介対象になると思われましたが,情報不十分のため詳細の言及を控えます.

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